GoogleのAIチャットサービス「Gemini」とは?

Gemini について知りたい情報をまとめました。

Gemini 全体がわかるガイド

Gemini とは

Gemini は、Google が開発した AI 技術の総称です。
Google 内には Gemini の名前のついたサービスがいくつか存在しており、関係がやや複雑です。
この記事では、Gemini に関連するサービスをざっくり整理・理解することを目標として、それぞれについて解説していきます。

なお、この記事にまとめている内容は 2024年11月末 時点での内容です。
AI に関する技術やサービスは日進月歩で進化しているため、ご覧のタイミングによっては情報が古くなっている可能性がありますことを予めご注意ください。

Gemini ファミリーの整理

Google は 以前から AI サービスを提供していましたが、2023 年 5 月の Google I/O を機に AI に関するサービスの名称を Gemini に統一しました。
それ以前は個別の名前で呼ばれていたサービスが、Gemini に統一されたことで「これは AI サービスだ」ということが名前でわかるようになりましたが、似たような名前のためやや区別しづらいものになっています。
ここでは、それらを簡単に大別し、それぞれが区別できるように説明していきます。

すべての基盤 Gemini(大規模言語モデル)

すべての Gemini サービスは、Gemini というマルチモーダル大規模言語モデルを基盤としています。
リンク:Google Cloud - 世界クラスの Google AI を活用した大規模言語モデル

Gemini は、テキストだけでなく画像や音声も理解できる点が特徴です。
これにより、従来のテキストベースの AI を超えて、より高度なタスクをこなすことが可能となっています。
テキスト生成、テキスト要約、機械翻訳、質問応答などの自然言語処理タスクに優れているだけではなく、コード、画像、音声、動画などのデータでもトレーニングが可能であり、幅広い用途に対応できています。

Gemini を利用したサービス群

大規模言語モデルの Gemni を用いた Gemini ファミリーには、いくつかのサービスがあります。
サービス内容については、日々拡充されているため最新情報を確認するようにしてください。

  • Gemini アプリ(対話型AI):
    対話型の生成AIサービス。(旧称 Bard )
    自然言語を用いた対話形式で利用できるAIアプリです。
    テキストでの対話だけでなく、画像や音声を使った入出力にも対応しています。
    旅行の計画を立てる、小説のアイデアを練る、プログラミングの質問をする、プレゼンテーション資料を作成するなどに適しています。
    画像をアップロードしてその内容について質問したり、音声で質問して回答をテキストや音声で受け取ったりすることが可能です。
    この記事内では、マルチモーダル大規模言語モデルの Gemini と同名であるため、区別するために「Gemini アプリ」の表記としています。
    大規模言語モデルの Gemini と区別する必要がない場合は、「Gemini」と呼ばれていることもあります。
    リンク:https://gemini.google.com/

  • Gemini for Google Workspace
    Google Workspace のアプリケーションに Gemini の機能を統合するサービスです。(旧称 Duet AI for Google Workspace)

    Google Workspace に組み込まれており、Business Standard 以上のプランであれば追加料金なしで利用することができます。
    Gmail でメールの文面を自動生成する、ドキュメントで文章を校正する・要約する、スプレッドシートでデータ分析を行う、スライドでプレゼンテーション資料を作成するといったことができます。

    対象ツールの画面上で Gemini の機能が利用可能になるため、各サービスを効率的かつ創造的に活用できるようになります。
    リンク:Google AI によるアップグレードで仕事を効率化

    以前は、Google Workspace とは別に契約が必要なアドオンとして存在していました。
    2025年1月に Google Workspace の基本機能に組み込まれたため、現在はアドオンを新たに購入することはできません。

  • Gemini for Google Cloud
    Google Cloud の各サービスに Gemini の生成 AI 機能を組み込むサービスです。(旧称 Duet AI)
    Google Cloud 上で、テキスト生成、要約、画像理解などをはじめ、コード補完やエラーの説明、BigQuery での SQL クエリの生成などを可能にします。
    リンク:https://cloud.google.com/products/gemini?hl=ja
    リンク:https://cloud.google.com/products/gemini/pricing?hl=ja

  • Vertex AI
    Google Cloud が提供する機械学習プラットフォームです。
    機械学習モデルの構築、トレーニング、デプロイなど、機械学習プロジェクトのライフサイクル全体をサポートします。
    Gemini を含む様々なモデルを利用可能で、企業は自社のデータを使ってカスタムモデルを構築したり、Googleが提供する事前学習済みモデルの活用が可能です。
    医療画像の診断支援、金融市場の予測、創薬研究、顧客ターゲティング といった高度な機械学習を行う際に使用されます。
    リンク:https://cloud.google.com/vertex-ai?hl=ja

<Gemini ファミリーについての簡単まとめ>

直接活用対象プラットフォームを強化
Google CloudGemini(大規模言語モデル) Vertex AIGemini for Google Cloud
Google Workspace-Gemini for Google Workspace
その他Gemini アプリ(Gemini API、Gemini SDK※)

※開発者が Gemini の機能を自身のアプリケーションに組み込むための API とソフトウェア開発キット。

モデル・バリエーションの整理

Gemini には、モデルとバリエーションがあり、それぞれ性能や得意なタスクが異なります。
各モデル・バリエーションの特徴を理解し、用途に合わせて最適なものを選択することが重要です。

一般的に、高性能なモデルは複雑なタスクに対応できますが、処理速度が遅くなる傾向があります。
一方、軽量なモデルは処理速度が速いですが、対応できるタスクが限られます。
また、高性能になるほど、利用料金も高くなる傾向があります。

基盤モデル

Gemini の 基盤モデルは、日々開発が進められ、2025年2月には Gemini 2.0 がリリースされました。
モデルはバージョンアップされ、より高性能化が進んでいます。
利用可能なモデルについては、最新の情報を必ず確認するようにしてください。 リンク:Google モデル

バリエーション

Gemini の各モデルには、さらにいくつかのバリエーションがあります。
これらのバリエーションは、主に以下の点で異なります。

  • 処理能力と速度
  • 用途
  • 利用料金

以下の情報は、2025年2月 時点の情報です。
必ず最新情報をご確認ください。

  • Pro:コーディングパフォーマンスと複雑なプロンプトに対応する最高モデル。
  • Flash:高速・高性能で、ユーザーの問題解決をスムーズに実行。
  • Flash Thinking:高速で高性能な処理能力を持ち、複雑な問題を解決するだけでなく、ブラックボックス化しやすい思考過程を人間に開示することが可能。
  • Flash-Lite:最もコストパフォーマンスに優れたモデル。

リンク:Google DeepMind - Gemini Models
(参考:以前のバリエーション には、Ultra/Pro/Flash/Nano の4つがありました。)

より「優れている」のは?

Gemini 2.0 は、Gemini 1.5 より後にリリースされており、同じバリエーションであれば Gemini 1.5 より高性能であると言えます。
ただし、Gemini 2.0 であれば必ず Gemini 1.5 より優れているとは限りません。
AI としての性能は、モデルだけではなくバリエーションによる影響も大きいためです。

利用するモデル・バリエーションは、その時のモデル・バリエーションを利用目的に合わせ適切に選択する必要があります。

エディション/料金体系

それぞれのサービスについて、モデルやエディションについて見ていきます。

Gemini アプリ(対話型AI)

Gemini(無料版)と Gemini Advanced の2つのエディションがあります。
高度な機能や大規模な利用を検討している個人ユーザーや小規模チームには、Gemini Advanced がおすすめです。
Google Workspace の Business Standard 以上のプランを契約することで、 Gemini Advanced を追加料金なしで使用することが可能です。

エディションGemini(無料版)Gemini Advanced
モデルGemini 2.0 FlashGemini 2.0 Pro など高性能モデル
利用料金無料2,900円/月
性能・文章やリストの作成、計画の立案、新しい知識の習得、画像の生成をサポート
・一度に複数の Google アプリから情報を引き出してまとめて処理する
・最大1,500ページまでアップロードして内容を把握・分析
・コード リポジトリをアップロードして、より賢く効率的にコーディング
・2 TB の Google One ストレージ特典
・Gemini in Gmail、Gemini in Google ドキュメント*などで、使い慣れた Google アプリとシームレスに連携(一部の言語にのみ対応)

Gemini for Google Workspace

Google Workspace に組み込まれているため、Business Standard 以上の契約があれば追加料金なしで利用することができます。
Business Starter をご契約の場合は、一部の機能がお使いいただけません。

リンク:Gemini for Google Workspace

Gemini for Google Cloud

Standard と Enterprise の2つのエディションがあります。

独立してページがある Gemini Code Assist と Gemini in BigQuery についてまとめています。
リンク:Gemini for Google Cloud の概要
リンク:Gemini for Google Cloud の料金

Gemini Code Assist

エディションStandardEnterprise
ユーザーあたりの月額ライセンス料金
(カッコ内は12ヶ月契約の場合の料金)
$22.80
($19)
$54
($45)
性能コード補完、コード生成、IDE でのチャット ローカルコードベースの認識
コード変換 Colab Enterprise の Gemini(Vertex AI)
Gemini in Databases Gemini in Firebase セキュリティと生成AIの補償
Standard の性能に加えて コードのカスタマイズ
Gemini in BigQuery※
Gemini in Apigee Application Integration の Gemini

※Gemini Code Assist の Enterprise エディションには、Gemini in BigQuery が含まれていますが、一部の機能は含まれません。

Gemini in BigQuery

エディションGemini Code Assist EnterpriseBigQuery Enterprise Plus
ライセンス料従量課金制※従量課金制※
性能SQLコード生成、説明
Python コード生成
データキャンバス
データインサイト
データセットのパブリッシュとサブスクライブ
Assist Enterprise の性能に加えて システム最適化と管理者の生産性向上機能
コンプライアンス管理
データ共有の下り(外向き)制御、データクリーンルームのサブスクリプション

※料金は https://cloud.google.com/bigquery/pricing?hl=ja

Vertex AI

特定のエディションはなく、サービスやモデルごとに機能や価格(従量課金制)が設定されています。
詳しい機能や料金情報は、Vertex AI における生成 AI の料金 をご参照ください。

まとめ

この記事では Gemini について、概要から各サービスの詳細や料金体系について解説しました。
複雑に絡み合う Gemini のサービス群ですが、それぞれ異なる分野と機能を持っていることがお分かりいただけましたら幸いです。

Gemini は現在も開発が進められており、今後さらに強力なモデルや革新的な機能が追加される可能性があります。
今後、Gemini はさらに進化し、より高度な推論能力や、より複雑なタスクへの対応能力を獲得していくでしょう。

また将来的には、動画や 3D モデルなどのより多様なデータ形式を理解し、生成できるようになる可能性も秘めています。
今後さらに進化を遂げて、よりよいサービス・機能が充実してくることが期待されます。

ぜひ、この記事を参考に、それぞれのサービスの特徴を理解し、自分に合った Gemini を見つけて、積極的に活用してみてください。

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